任意整理とは？弁護士や司法書士に依頼するメリットや知っておくべき知識の総まとめ

債務整理手段の中で、もっとも知名度の高いものといっても過言ではないのが「任意整理」という手続きです。裁判所を介さずに手続きができるため、利用者も非常に多くなっています。しかし借金に関係する話を知人とするという機会は一般的にあまりありません。

実際にはどういったものなのか気になってはいても実情を知ることが少ないのが現状でしょう。ここでは任意整理とはどういった手続きなのかをはじめ、弁護士や司法書士に代理人を依頼するメリットや事前に知っておきたいポイントなどについて詳しくご紹介していきます。

そもそも任意整理とは？ほかの債務整理との違いはある？

任意整理とは借金の総額と月々の返済額を減らすことを目的とした債務整理手続きのことです。債務整理手段の中では裁判所を通さずに債権者側と直接交渉を進めることができるというその手軽さゆえ、もっとも多くの方が利用している手続きとなっています。任意整理では原則として借金の元本を減らすことはできません。しかし債権者との取引開始時までさかのぼって利息制限法に基づいた金利の引き直し計算を行います。そこで過払い分の金利が見つかれば元本から差し引き、これから発生する将来利息のカットをしてもらう方向で債権者側と交渉します。和解が成立すれば元本自体は減らずとも総額が大幅にカットされることがあります。結果的にそのまま返済を続けていくより月々の返済も楽になり生活を立て直すことが可能です。

任意整理手続きは自分で行うこともできますが、専門知識がなければ書類作成ひとつとっても一般の方には簡単なものではありません。そのような背景もあり、多くの方は弁護士や司法書士に依頼をして手続きを行っています。

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任意整理を弁護士や司法書士に依頼することで生まれる3つのメリット

任意整理を弁護士や司法書士へ依頼するメリットの1つ目は「時間と手間をかけずに済む」ということです。弁護士や司法書士に任意整理の代理人を依頼すると、もちろん多少の費用はかかります。しかし専門知識のない方が自分で任意整理を行うとなれば、勉強しながらの書類作成をはじめ、書類の提出、さらには債権者側との交渉も自分でしなければなりません。これらすべてを働きながら行うのは困難を極めますし現実的ではないといえるでしょう。しかし弁護士や司法書士に代理人を依頼すればそれらすべてを請け負ってもらえます。これにより仕事もプライベートも普段通りにこなしながら手続きを進めることができ自分は和解が成立するのを待つだけになるのです。

メリットの2つ目は「取り立てや督促をすぐにストップできる」ということ。返済が滞ってしまった結果、取り立てや督促をしつこくに受けるようになり体調まで悪化させてしまっているという方も少なくはありません。しかし弁護士や司法書士に任意整理の代理人を依頼すれば、取り立ての類いはすべてストップします。代理人を引き受けた弁護士や司法書士は依頼を受けた旨をすぐに債権者側に連絡をするのです。この連絡を受けた債権者は、債務者に対しての取り立て行為が法律によって禁じられています。そのため代理を依頼することは取り立てから解放されることにもつながります。

3つ目としては「家族にバレずに手続きが可能」ということです。借金があることを家族に秘密にしている方は決して少なくはありません。任意整理の場合は債務整理の事実が官報に載らないこともメリットでしょう。何か家族に悪影響がおよぶことや借金に関する連絡が来るというようなこともないのです。また代理人にあらかじめ申し出ておくことで書類が自宅に直接届かないような配慮をしてもらうことも可能となっています。したがって家族に借金があることはバレないまま手続きを行うことができるのです。

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弁護士と司法書士の違いはどこ？

弁護士と司法書士のもっとも大きな違いは「扱うことのできる分野や範囲」にあります。これは債務整理に限った話ではありません。弁護士は法律に関する業務であれば分野を問わずにすべての案件を担当することが可能です。一方で司法書士は定められた分野・範囲内でしか法律に関する業務を行うことができません。本来司法書士は登記や供託などを主に取り扱う資格で、そのほかの法律業務とはあまり縁のなかった資格です。しかし弁護士の人口不足などもあり、法務省の認定を受けている認定司法書士であれば一定の範囲内での紛争解決業務などを担当することも可能になっています。

債務整理の代理人は弁護士と司法書士で違いがある？

弁護士であれば債務整理に関してもすべての案件の代理人を担当することが可能です。一方で司法書士に債務整理の代理人を依頼する場合は制限がありますので事前にしっかりと把握しておく必要があります。具体的には借金の金額に関する制限です。司法書士は個別の債務額が140万円を超えていない案件しか代理を担当することができません。しかし、これはあくまで「個別の借金額」が140万円を超えている場合の話です。複数社からの借り入れがあり総額は140万円を超えているが1社で140万円を超えていないということであればこの限りではありません。また個人再生や自己破産といった元本を大幅に減額する債務整理手続きは、その特性から債務額が140万円以下の際に行うことがほとんどありません。よって個人再生や自己破産といった手続きの場合、基本的には司法書士に代理人の権利がないということはあらかじめ知っておいた方がよいでしょう。

弁護士に代理人を依頼することで得られるメリット

弁護士には借金の金額や手続きの種類に一切制限がありません。そのため基本的には債務整理関連の案件であればどのようなものでも引き受けてもらうことが可能です。また過払い金が発生していた場合も司法書士では140万円を超える金額は回収できませんが、弁護士であれば制限なく対応できるということも大きなメリットとして挙げられます。

司法書士に代理人を依頼することで得られるメリット

司法書士の場合はあつかえる範囲に制限はあります。しかし範囲を超えないということがあらかじめわかっているのであれば特に問題はないのです。債務整理の代理費用も弁護士より安い傾向ですので費用面を考えると弁護士より割安で借金を減額できる可能性が高くなります。本来債務整理は借金を減額することを目的としている手続きです。できる限りかかる費用は最小限にとどめたいと考える人も多いでしょう。そういったことも踏まえると、やはり代理費用が安い傾向というのは大きなメリットだといえるでしょう。

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弁護士と司法書士どちらが正解？専門家を選ぶ際に知っておきたいポイント

どちらが正解ということはありませんが、基本的にはあつかえる範囲に制限のない弁護士を選ぶ方が賢明だといえます。借金の金額や債権者との交渉の過程によっては任意整理から個人再生や自己破産といった債務整理に切り替わる可能性も否定できないからです。そうなると代理人も弁護士に依頼しなおすことになってしまいます。

司法書士に依頼する際は借金額があきらかに140万円以下であることや、事前にほかの債務整理へ切り替わる可能性が低いかを入念に確認しておきましょう。また任意整理を行うにあたって肝心なのは代理費用ではなく抱えている借金問題を解決することにあります。任意整理で得られる結果は代理人の交渉能力で大きく変わってきますので、多少費用が高かったとしても成果に期待できる事務所があるのであればそちらに依頼するべきでしょう。無料相談を行っている事務所も数多く存在しますので複数の事務所に相談したうえで依頼する事務所を検討することをおすすめします。

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任意整理手続きは自分でできる？

任意整理の代理を弁護士や司法書士に依頼するには費用が必要ですので、節約するために「自分でできないの？」と考える方も少なくはありません。もちろん手続き自体を自分で行うことは可能です。しかし実際に自分で行っている方はほとんどいないというのが現状となっています。その理由として大きいのは債権者との示談交渉が難航する可能性が極めて高いからです。相手は金融のプロですから専門知識のない素人相手となると相手にしてもらえなかったり容赦なく不利な条件を提示されたりする可能性もあります。場合によっては利息のカットにも応じてもらえないケースすらあるでしょう。費用を節約したいという気持ちはわかりますが、不利な条件で和解を成立させないためにも任意整理の際は弁護士や司法書士に代理を依頼した方が賢明でしょう。

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任意整理を弁護士や司法書士に代理を依頼したときの費用相場

任意整理の費用内訳は「相談料」「着手金」「成功報酬」の3つに分けることができます。さらにケースによってはそれら3つに加えて「減額報酬」「過払い金報酬」なども発生する可能性があるのです。知らなかったといって免除されるようなことは決してありませんので代理契約を結ぶ前にそれぞれの費用の違いについてしっかりと理解しておきましょう。

相談料とは？費用相場はどれくらい？

相談料は代理契約を結ぶか否かに関係なく借金問題や債務整理についての相談を行った時間で発生する費用です。一般的とされているのは1時間あたり5,000円～10,000円程度です。なかには初回のみ無料や相談自体を無料としている法律事務所や司法書士事務所も数多く存在します。不安に思っていることやわからないことは無料相談の段階ですべて質問しておいた方がよいでしょう。

着手金とは？費用相場と注意すべき点

着手金は代理契約を結んだ時点で発生する費用です。成果に関係なく支払わなければなりませんので、例え和解が成立しなかったり満足のいく成果が得られなかったりしても支払いの義務が生じます。着手金の相場は1社あたり2万円程度とされていますが特に法律で定められているわけではなく、各事務所で料金を自由に設定できるため注意しなければなりません。なかには高額な着手金を請求して不誠実な対応を行うような悪質な事務所もゼロではないからです。着手金無料や着手金後払いといった事務所も増えてきていますので、不安な方はそういった事務所を中心に検討した方がよいでしょう。

基本報酬とは？費用相場と押さえておきたいポイント

基本報酬は債権者との和解が成立した時点で発生する費用となります。1社あたり2万円～3万円前後の相場ですので任意整理を依頼して和解が成立した業者の数だけ発生することは理解しておきましょう。任意整理の代理を複数社まとめて依頼するという方が多いということもあってか、2社目以降は割安としているような事務所も存在します。

減額報酬とは？費用相場はどのくらい？

減額報酬は示談交渉によって減額することができた借金の金額に応じて算出される費用です。減額できた金額の10％（税抜き）以下にしなければならないと日本弁護士連合会によって定めていますので費用の相場も10％となっています。

過払い金報酬とは？費用相場と知っておくべきこと

任意整理手続きでは借金の取引開始時までさかのぼって利息の引き直し計算を行います。その過程で過払い金が見つかることも決して珍しくはないのです。実際に過払い金が見つかり、その過払い金が借金の残高を上回っていた場合は当然返還してもらえます。しかしその際に返還してもらう金額に対して発生するのが過払い金報酬です。返還できた過払い金の20％（税抜き）以下、訴訟まで発展した場合は25％（税抜き）以下と日本弁護士連合会が上限額を定めていますので、相場も20％前後となっています。

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失敗しない弁護士や司法書士の法律事務所の選び方

弁護士や司法書士の資格さえ有している人であれば債務整理の代理を担当してもらうことは可能です。しかし、どこに依頼しても得られる成果が同じというわけではありません。より良い成果を得るためにも失敗しない事務所の選び方を知っておきましょう。

後払いや分割払いが可能な事務所か

債務整理は借金を減額するための手続きとなりますので、金銭的に余裕のある方が行うということはまずありえません。つまり事務所側からは依頼者のほとんどがお金に困っている方ということがわかる状況なのです。そういった中で後払いや分割払いができる事務所は、できない事務所に比べてとても良心的だといえます。ホームページ上では公表していなくても電話や訪問を行って相談することで後払いや分割払いに応じてくれる事務所も存在しますので積極的にこちらから相談していくことが重要です。無料相談を行っている事務所も数多く存在しますので、そういった事務所をうまく活用していきましょう。

費用総額が明確でわかりやすいか

費用の総額がわかりやすいかどうかは事務所選びで非常に重要なポイントのひとつです。ホームページなどで公開している費用が、一見しただけではわかりづらいという事務所も珍しくはありません。また、あえてわかりづらい表記を行い、契約後に使途不明金を請求しているような事務所もわずかながら存在するのです。特に「〇円～」というように、具体的な金額の公表をしていない事務所には注意してください。万が一そういった事務所に依頼することがあれば、事前に必ず電話で具体的な金額を質問するようにしておきましょう。

必ず複数の事務所を検討しよう

債務整理は費用の面だけを見ても各事務所で大きな差がありますし、実績や対応も事務所によってさまざまです。したがって、より良い事務所に依頼するためには、「相見積もり」を取ることがとても重要になってきます。複数の事務所から見積もりを取ることで費用の比較は容易になりますし、各事務所の対応も評判通りのものなのか知ることが可能です。面倒だからといって適当に事務所を選ぶようなことは絶対に避け、必ず複数の事務所を天秤にかけて優良な事務所を選択していきましょう。

街角法律相談所を利用して優良事務所に出会う方法もある？

街角法律相談所とは債務整理に限らずあらゆる法律の関係する案件で専門家を探しているときに、自宅から近い優良な事務所を無料であっせんしてくれる相談所となっています。匿名で利用できますし24時間対応してもらえますので、代理人を依頼する事務所選びに難航しているときはこちらを利用してみるのもよいかもしれません。

法テラスに相談して事務所を紹介してもらうこともできる？

法テラス（日本司法支援センター）とは日本政府の運営する機関です。運営母体が国ということもあり安心して利用することができます。もちろん債務整理関連の案件も取り扱っています。また法テラスには「民事法律扶助」という制度があります。この制度は法テラスからあっせんされた弁護士事務所や司法書士事務所と契約を結んだ場合に限り費用を立て替えてもらうことができるというものです。債務整理の代理費用は決して安いものではありませんので代理費用の捻出に困っている方や良い事務所がなかなか見つからないという方はこちらを活用してみるのもひとつの手でしょう。

信頼できる事務所かどうかを見極めるためには？

信頼できる事務所に代理を依頼するためにはインターネット上の口コミや評判を鵜吞みにしすぎるのは避けましょう。インターネット上にあるのはだれの体験談かもわかりませんし、そもそも信憑性が高いかどうかはわからないからです。また知らないだれかが好印象を抱いたからといって自分もそう感じるとは限りませんので、あまり賢い選び方とはいえません。インターネット上の評判を参考にするより、過去に債務整理を行ったことのある知人などから紹介してもらったほうが良い事務所に出会える確率はグンと上がります。債務整理をすることを知人に相談するのは抵抗を感じる行為かもしれませんが、知り合いからの意見であれば信憑性は増すので思い切って相談してみるのも有効な手段でしょう。

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1人で悩まずに相談などをうまく活用していこう

債務整理手続きのひとつである任意整理だけを見ても、これだけの知っておくべき知識があるのです。また満足のいく成果を得るためには代理を依頼する事務所選びははとても重要になってきます。そのため無料相談などをうまく活用して慎重に選ぶように心がけましょう。肝心なのは代理費用ではなく任意整理によって得られる成果です。苦しい返済生活から解放され新たなスタートを切るためにも、今回ご紹介している内容は最低限知っておくべきものですので、ぜひ参考にしてみてください。