債務整理は手続きの種類によって流れや期間が違う?

債務整理は手続きの種類によって流れや期間が違う?

監修弁護士 紹介

鬼沢健士(おにざわたけし)

  • 鬼沢健士(おにざわたけし)
  • じょうばん法律事務所
  • 茨城県弁護士会
  • 弁護士登録2010年

弁護士は裁判が仕事ですが、弁護士に頼む人にとっては一生に一度あるかないかの一大事です。そのことを肝に銘じて、誠心誠意取り組んでいます。また、できるだけお早めに相談してください。病気と同じで、放っておくと悪化するのが普通です。早ければ早いほど解決しやすくなります。

借金を法的手段等で減らし、返済に苦しむ生活を再構築することができるのが債務整理です。しかし取るべき手続きは債務者の状況や残債額などによって異なります。また債務整理の種類によって借金問題の解決までにかかる期間も大きく違ってくるのです。そのため手続きに踏み切る前に把握しておいた方が安心して結果を待つこともできるでしょう。ここでは、各債務整理手続きの概要と流れに触れ、一般的にそれぞれの手続きにはどれくらいの期間を要しているのかについて詳しくご紹介していきます。

そもそも債務整理とはどういった手続き?

債務整理とは借金返済に苦しむ人の負債額を軽減するために用意された国が認めている法的な手続きのことです。「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」という4つの手続きの総称として債務整理という言葉が用いられています。いずれの手続きも借金減額を目的としていることに変わりはありませんが、負債総額や債務者の状況によって適した手続きを選択しなければなりません。まずはそれぞれの概要から見ていきましょう。

任意整理の概要

任意整理とは債権者との交渉によって借金の減額を図る手続きです。また、債務整理の中で唯一裁判所が関与せずにできる手続きです。まずは取引開始時からのすべての履歴を開示請求し、利息制限法に基づいた金利の引き直し計算を行って正確な債務金額を算出します。その際に過去に払いすぎている利息が見つかれば、その分を元本から差し引くことが可能です。さらに、これから発生したであろう将来利息のカットもしてもらう方向で債権者に交渉を行います。そのため結果的に返済額は大幅に軽減される可能性があります。また任意整理は住宅や自動車などの資産を残した状態で手続き可能ということもあり、もっとも多くの人に利用されている債務整理です。

個人再生の概要

個人再生とは負債総額の20%と100万円を比較し、どちらか金額の大きい方を原則3年間で滞りなく返済することによって、残りの借金を免除してもらうことのできる手続きです。取り扱える金額の上限が5,000万円に設定されているものの、上限を超えてさえいなければ元本自体を大幅に減らすことができるという特徴を持ちます。住宅や自動車などの資産は残した状態で手続き可能ですし、特定の職業には就けなくなるなどといった制限もありません。

自己破産の概要

自己破産とは抱えている借金が返済できないという申し立てを裁判所に行い、それが認可されることによって法律上借金返済の義務をなくすことのできる手続きです。上限金額もなく場合によっては巨額の借金もゼロにできるという制度なので、その分裁判所の決定は簡単には下りません。また、その他の債務整理とは違って住宅や自動車などの大きな資産はすべて手放し、換金して債権者へ分配となります。したがって、個人再生では返済の目途が立たないという方が最終手段として活用する債務整理手続きという位置付けです。

特定調停の概要

特定調停とは裁判所に債権者との仲介役をしてもらい、借金の減額交渉を行う債務整理です。任意整理と同様に利息の引き直し計算を行った後に将来利息のカットも求めていくという流れですが、大きく異なる点が3つあります。1つ目として任意整理は一般的に専門家に代理人を依頼して手続きを進めるのに対して、特定調停は原則として債務者本人が行わなければならないということです。これにより、かかる費用は大幅に軽減することができますが、その分何倍もの手間と時間を必要とします。そして2つ目に取り立てや督促がストップするまでの期間が違うことです。任意整理の場合、代理人を立てることによって取り立て行為を即時ストップさせるのも可能なケースがあります。しかし特定調停の場合は必要な書類を用意して、自らが裁判所に申し立てを行わない限りは取り立てを止めることができません。3つ目は調停調書の存在です。特定調停では合意が成立すると調停調書という書類を裁判所が発行します。調停調書には裁判の判決と同等の効力があるので、合意通りに返済できなかった場合、債権者は債務者に対して給与の差し押さえなどといった強制執行が可能です。任意整理の場合でも調停調書に似た和解書や合意書というものが作成されますが、これらだけでは強制執行はできません。

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各手続きのメリット・デメリットを理解して自分に合った債務整理を見極めよう

各債務整理によってメリット・デメリットや特徴は大きく異なります。また借金の総額や状況によっておすすめとなる手続きも違ってくるのです。どの債務整理をしてもブラックリストにのる(信用情報機関に事故情報が登録される)というデメリットがあります。自分にあった債務整理手続きを見極めるためには、それぞれの特徴を知ることからはじめましょう。

任意整理の特徴とおすすめの人

任意整理は、その名の通り整理対象とする債務を任意で選択することができるというメリットを持ちます。つまり複数社からの借り入れがある場合は金利の高い債務だけを整理対象とし、その他はこれまで通り返済していくといったことも可能です。したがって、何らかの事情で特定の債務だけを整理したいという人におすすめだといえます。また任意整理では裁判所が関与しないため、家族や職場の同僚などにバレずに借金減額を目指したいという人にも利用を推奨したい手続きです。さらに言えばブラックリストへの登録期間に関して、もっとも短い債務整理なので、負債総額が少ない人はまずは任意整理から検討すべきでしょう。しかしながら、任意整理では利息のカットはできても、過払い金が見つからない限りは元本自体を減らすことはできない点はデメリットです。巨額の借金を抱えている人が行ってもあまりメリットがない可能性があります。

個人再生の特徴とおすすめの人

個人再生には上限金額である5,000万円を超えない負債であれば大幅に元本を減らすことができるという大きなメリットがあります。また自己破産とは違って住宅などの資産を手放す必要もありません。したがって任意整理では返済の目途が立たないが、自己破産をするほどのレベルではないという人におすすめとなる手続きです。しかしながら個人再生は裁判所を通して手続きを行います。自分がどれだけ個人再生を望んでも返済が困難な状況であると裁判所が認めなければこの制度を利用することができない点はデメリットといえます。それ相応の理由がなければ個人再生は難しい傾向にあることをあらかじめ知っておいた方がよいでしょう。

自己破産の特徴とおすすめの人

自己破産には負債総額がどれだけ巨額であっても、裁判所が免責決定を下せば借金が免除されるというメリットがあります。しかし自己破産するためには、住宅を含む大きな資産はすべて手放さなければいけないデメリットもあります。また自己破産は個人再生よりはるかに審査が厳しくなる傾向にあります。したがって、債務整理の中でも個人再生では返済の目途がまったく立たないという人や、何らかの事情で返済する能力を有していない人におすすめとなる手続きです。

特定調停の特徴とおすすめの人

特定調停は、全債務整理の中でもっとも費用のかからない手続きです。整理対象とする債権の数にもよりますが、1万円もかからないといったケースも決して珍しくないため返済に困窮している人にとってはメリットといえます。したがって、とにかく債務整理の費用を抑えたいという人におすすめです。ただし特定調停は基本的にすべての手続きを自分でしなければならない点はデメリットとなります。慣れない書類作成や交渉手続きにおける手間と時間は相当なものとなります。また専門知識を有していない素人相手となると、債権者側は容赦なく不利な条件を提示してくることもあるでしょう。さらに、合意条件を守らなければ給与差し押さえなどの強制執行が行われるリスクもあります。特定調停を選択する場合は、そういった点に十分注意しておくことが必要です。

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専門家に代理人に依頼した場合の債務整理手続きの流れ

特定調停以外の債務整理は手続きや書類作成などの難解さも相まって、弁護士や司法書士といった専門家に代理人を依頼して行うのが一般的となっています。手続きの種類によって着手後の流れは大きく異なりますが、着手までの流れにはほぼ変わりがありません。順を追って詳しく見ていきましょう。

まずは面談や相談から

本格的な手続きの流れに入る前に、まずはどの法律事務所に代理を依頼するか決めるところからはじめなければなりません。面倒だからといって依頼先を選ぶことをおろそかにせず、電話やメール、あるいは訪問で複数の法律事務所と面談・相談をすることをおすすめします。相談は無料の法律事務所も増えてきていますので、そういったところを中心に相談していくとよいかもしれません。

代理の委任契約

どの事務所に依頼するかが決まれば、いよいよ委任契約です。委任契約とは債務整理の代理人を引き受けてもらうために必要な契約となります。委任契約書によって委任しなければ代理人として専門家に動いてもらうことができないため、これはとても重要な流れです。また委任契約書には「依頼する内容」と「支払う費用」などの情報も記されているため、しっかりと契約内容を確認してサインするようにしましょう。委任契約書の確認を怠ったことが原因で後に法律事務所とトラブルになってしまったという事例もわずかながらあるため注意が必要です。

債権者へ受任通知の送付

債務整理において委任契約を結ぶと代理人は受任通知(事務所によっては弁護士介入通知と呼ぶこともあり)という書類を債権者の元へ送付します。受任通知とは「債務者が専門家へ債務整理を依頼した」という内容を債権者へ知らせる通知です。この通知書を受け取ると債権者が債務者に対して直接的な取り立てや督促をすることができなくなります。これらは法律によって禁止されているのです。したがって、この流れに到達したタイミングから取り立ての類いのものが自分宛てにくることはありません。

取引開始時からのすべての履歴を開示請求

債務整理が進んで受任通知を送付した後は、該当するすべての取引履歴の開示請求を行います。ここでいう取引履歴とは債権者と債務者の間で過去に行われたすべての取引情報が記された書類のことです。委任契約を結んだ後の流れの中では基本的に自分が行うことはありませんので、取引履歴に関しても自分で取り寄せる必要はありません。

利息の引き直し計算

取引履歴が代理人の元に届いたら、その履歴を参照して利息の引き直し計算に入ります。引き直し計算とは利息制限法の範囲の利息で返済したものと仮定して債務金額を計算し直すことです。過払い金あった場合はこの流れで発覚し、見つかった過払い分は元本から差し引かれます。そうして正しい債務金額が算出された後に具体的な債務整理の方針を決定していきます。

各債務整理手続きを開始

引き直し計算によって確定された債務金額と債務者の給与や経済事情を照らし合わせたうえで適切な債務整理手続きに着手します。着手後も基本的には代理人が書類の作成や交渉、裁判所への出頭などを代行します。分割払いをする債務整理の場合には弁護士と支払い可能性について協議するなど、弁護士とコミュニケーションをとりながら進めましょう。あとは和解成立の連絡を待ち合意書に記された内容の通りに返済を行うといった流れなります。

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各債務整理に着手してから和解成立までに要する期間はどのくらい?

債務整理に着手するまでの流れが代理人を立てずに行う特定調停以外は基本的に同じということもあって、要する期間にも大きな違いはありません。しかし着手から和解が成立するまでの期間は手続きによって異なります。さらに債務者の状況や交渉の進み具合次第で、同じ債務整理でもかかる期間が変わってくる可能性があるのです。そのため一概に平均期間というものを言い表すのは難しいでしょう。したがって一般的に和解成立までに「どのくらいの期間がかかっているのか?」ということでしかお伝えすることはできませんが、おおよその目安としてご覧ください。

任意整理手続きの一般的な期間

任意整理は利息の引き直し計算を行った後に債権者と直接交渉を行って借金の減額を目指す債務整理手続きです。裁判所が関与しないということもあり明確にスケジュールが決まっているわけではありません。したがって、債権者側の対応のスピードなどによって和解成立までの期間は大きく変動する可能性もあります。一般的には3カ月~半年程度の手続き期間を要している傾向です。

個人再生手続きの一般的な期間

個人再生は抱えている借金を返済しきれないという申し立てを裁判所に行い、それが認可されることによって元本自体を大幅に減らすことのできる債務整理手続きです。したがって、各裁判所のスケジュールや認可までのスピードなどに依存するところはあります。一般的には半年程度の手続き期間となっているケースが多い傾向です。

自己破産手続きの一般的な期間

自己破産は裁判所が免責という決定を下すことで、抱えている借金をゼロにすることのできる債務整理手続きです。自己破産では上限金額なしですべての借金の返済義務がなくなるということもあり、それ相応の手続き期間を要することは覚悟しておかなければなりません。申し立て人の状況などによって免責決定となるまでの期間が大きく変化しますが、3カ月以内で手続きが終わることは少ないと考えておきましょう。決定が出るまでに1年以上かかった事例もありますので、そういったことも覚えておいた方がよいかもしれません。

特定調停の一般的な期間

特定調停は裁判所に仲介役を務めてもらい債権者に対して借金減額の交渉を行う債務整理手続きです。3回前後の調停で和解が成立する事例が多い傾向ため、簡易裁判所に出廷する日数は3日ほどです。しかしながら調停はおよそ月に1回のペースでしか行われません。さらに書類の用意も自分でしなければならないことを考慮すると最低でも3カ月以上の手続き期間を要すると考えておいた方がよいでしょう。

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流れや要する期間を事前に把握してから手続きに入ろう

債務整理はそれぞれの手続きで特徴が大きく異なるため、自分にはどれが適しているのかをしっかりと見極めたうえで踏み切る必要があります。さらに手続きの種類や当事者の状況によっても問題の解決までに要する期間は違ってきますので、その点についても事前にしっかりと把握しておきたいところです。また今回ご紹介した各手続きに要する期間は一般的なものではありますが、確実にご紹介している期間内に手続きが終わることを保証したものではありません。不要なトラブルを招かないためにも、債務整理を弁護士や司法書士と契約を交わす前に料金などとあわせて期間の目安についても確認しておいた方が安心して結果を待つことができるでしょう。

弁護士が教える債務整理