過払い金請求、自分でするにはどうしたらいい？

過払い金とは、消費者金融会社などがキャッシングの際に利息制限法の法律の隙間をついて利用者に必要以上の利息を要求し、キャッシング利用者に支払わせたお金のことです。2007年以前にキャッシング利用をした方々は、この過払い金を請求する権利があり、その請求は裁判を行うケースもあるため専門家である弁護士や司法書士などに依頼をする方々も少なくありません。しかし過払い金請求は、専門家を通さずに自分で行うことも可能です。そこで、自分でできる過払い金請求の方法を紹介します。

自分でもすることができる！過払い金請求！

過払い金の請求には法律が関わるので、法律の専門家である弁護士や司法書士に過払い金請求を依頼すると、専門家のアドバイスにより手続きをスムーズに行うことができます。では専門家を通さずに過払い金は請求しても良いのでしょうか。
自分で過払い金請求をすることは可能です。過払い金請求は専門家を通さずに行ってはいけないという決まりはないので、自分自身の手により請求をする権利があります。むしろ建前上は、本人が手続をすることが原則です。

過払い金は自分自身のことなので、弁護士や司法書士の力を借りずに自分で行いたい、また人任せにすると請求先である消費者金融会社と弁護士の交渉がうまくいっているか分からないと感じる方に向いているのが自分での過払い金請求です。
では、自分での請求は専門家を通す請求に比べてどのようなメリットがあるのか、そして請求方法や注意点は何なのでしょうか。

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自分で過払い金請求をするとこんなメリット・デメリットが！

弁護士、司法書士などの専門家を通さないで行う自分での過払い金の請求は、メリットとなる要素もあればそうでない要素もあります。自分での過払い金請求をする際のメリットはどのようなことが起こりデメリットはどのようなことなのか、詳しく説明します。

自分で過払い金請求をした場合のデメリット

過払い金の請求には、いくつかの必要書類を用意し提出しなければいけません。専門家に依頼をした場合、専門家がどのような必要書類が必要かという指示をしてくれます。また、書類の用意、請求先である消費者金融会社との交渉などを代理人として受任しますが、これらを自分で行う場合は自分一人でやらなくてはならず、準備から交渉まで膨大な時間と手間を費やすことになります。

また、返還される過払い金が少なくなる可能性もあります。請求先とは自分自身で交渉することになりますが、交渉するには法律の知識や過払い金の計算方法など専門的な知識に詳しくないと難しくなります。よって請求先に上手く言いくるめられて、本来返還されるはずの金額より少ない金額で交渉成立という流れになることもあります。

そして、過払い金請求を自分で行うと、交渉のために何度も自宅へ電話がかかってくることになりますが、交渉を続けていたら家族などの同居人に過去に借金をしていたことが発覚するおそれがあります。請求先の消費者金融会社からキャッシングをして返済中の場合は「過払い金請求をするくらいなら早くキャッシングしたお金を返済してほしい」と通常より多く返済の要求や督促が増加することもあります。

自分で過払い金請求をした場合のメリット

請求先との交渉を含め、過払い金請求に関する一切を自分で行うことは面倒なことが多いですが、専門家に支払う費用を抑えられます。そして裁判を行う場合、法律に関する知識を持っていないと裁判を行えないので、専門知識が身につくというメリットもあります。

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どうやればいいの？自分で過払い金請求をする方法

自分で過払い金の請求を行うには、請求をするために必要ないくつかの書類の準備などをしなくてはいけません。請求にはどのようなものが必要で、どのような手順で請求をしていくのか、具体的な請求方法を説明します。

まず「取引履歴」を請求しよう！

自分で過払い金請求を行うには、自分自身に過払い金請求をする権利があることの証明をしなくてはいけません。そのためには、過去の消費者金融のキャッシング額の全額、そして利息を含めた返済額を記録した履歴の提示を請求先に要求する必要があります。この履歴を取引履歴と言います。

取引履歴の取得方法は、取引履歴請求書を作成して請求先に郵送する、あるいは電話での口頭でお願いする方法があります。その際、店頭で取引履歴の提示のお願いをすればすぐにその場で対応して取引履歴を提示してくれる業者もありますが、電話や郵送でのお願いの場合は、早くて1週間から10日、遅くて1ヶ月以上かかってから取引履歴を提示してくる業者もあります。

いくら過払い金があるかわかる！「引き直し計算」とは

取引履歴により過去の自分のキャッシング履歴がわかったら、次は取引履歴を元に「引き直し計算」をします。

引き直し計算とは、自分で過払い金請求を行う際に必要な作業であり、具体的に自分がいくら過払い金を払ったかを出すために必要な計算です。計算のやり方は、当時の利息を含めた返済額の全額から、本来の利息で支払うべき返済額を引くというのが計算方法です。

例えば過去に100万円キャッシングして1年かけて返済して返済時の利息が29.2パーセントの場合、返済全額は129.2万円になりますが、本来の利息は仮に15%だとすると、1年間だと返済全額は115万円になります。よって129.2万円から115万円を引いた14.2万円という数字が過払い金になります。

しかし、当時のキャッシングの状況によって計算方法は複雑になります。返済をさらに細かく何度も分割で行ったり、返済中にまたキャッシングをしたりと取引が何回も連続しているケースもあります。

確実に過払い金の数字を出したい方は、専用の過払い金計算ソフトがあるのでそちらの使用もおすすめです。ソフトによっては無料ダウンロードできるソフトもあります。

「過払い金返還請求書」を請求先に送ろう！

過払い金の具体的な金額がわかったら、請求先へ過払い金支払いの請求をします。請求方法は請求先へ「過払い返還金請求書」を送ります。この請求書は決まっている書式はありませんが、請求先の業者名とその代表者名、自分の氏名、住所、連絡先である電話番号、そして具体的な過払い金の金額とその返還を希望する文書、自分の振込先が、請求書に書く主な記入事項となっています。

インターネット上で請求書専用の用紙を無料でダウンロードできるので、そちらを使用することもおすすめです。

この請求書は、請求書を送った証拠となる内容証明郵便で送る必要があります。内容証明郵便は、通常の郵送より料金が高くなりますが、業者が請求を無視する防止策として、自分で過払い金請求を行う上で必要な郵送方法なのです。また、消滅時効を6ヶ月延長する効果もありますので、取引終了日から長期間経過している場合には必ず内容証明郵便を使いましょう。

いよいよ交渉へ！貸金業者との交渉方法

請求書を送ったら、後日請求先から電話での連絡があり、電話での交渉となります。自分での過払い金請求における一番大事な作業がこの請求先との直接の交渉です。
この場合、請求先は請求した希望返還額より安い金額を提示して交渉してきます。

しかし、請求先が何を言ってきても発生した過払い金を請求することは正当な権利であるので、相手の和解案を簡単に了解しないように、自分の主張を通して、しっかりと交渉することが大事なことです。この交渉で和解が成立すれば請求先から後日、請求書に記入した口座へ返還額が振り込まれます。

少しでも多く過払い金を返還してほしい！その場合は裁判へ！

和解交渉が決裂したら、今度は裁判に持ち込む方法があります。
過払い金返還請求訟訴は、裁判所に必要な書類を提出する必要があります。請求するための証拠を裁判所や業者に伝えるための証拠説明書、請求に必要だった取引履歴、引き直し計算書、そして業者の会社情報が記載された登記簿謄本を用意します。登記簿謄本は、法務局に行き、業者の社名と本店住所を指定された用紙に記入して申請すると、取得することができます。

裁判に勝訴判決、または訴訟前に請求先からの和解案を了解すれば、電話交渉時に請求先が提示した金額より多くの過払い金が返還されます。

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ここが要注意！自分で過払い金請求をする時の注意点

自分で過払い金請求を行う場合、請求から交渉とすべて自分一人で行わなくてはいけません。弁護士や司法書士が代行人としてやってくれた場合は、その道の知識が豊富な専門家に任せればいいのですが、自分での請求は注意すべき点がいくつかあります。その注意点について説明します。

交渉時には気をつけて！請求先の要求「ゼロ和解」とは

自分で過払い金請求をするには、まず請求先に取引履歴の開示をお願いすることになりますが、このときに、請求先から「ゼロ和解」を提案してくる場合があります。
ゼロ和解とは、過払い金がいくら発生しているかわからない状態で、まだ自分に借金がある場合「借金を帳消しにする代わりに過払い金の返還も無しにして貸し借りゼロの状態にしましょう。」と請求先の業者が和解を提案してくることです。借金がなくなるということで提案された側は、和解を了解してしまうことが多々あります。

しかし、このゼロ和解を請求先が要求してくる場合、返済中の返済全額と過払い金返還額の全額を比べた場合、返還額のほうが多いケースが多々あります。そして、ゼロ和解を了解してしまっては、戻ってくるはずの過払い金が返還されません。
ですから、今の借金が無くなるからといって安易にゼロ和解を了解せずに、まずは過払い金がいくら発生しているかを確認することが先決です。

「長期期間の分割払い」を用心しなければいけない理由

自分で過払い金請求をしたときの請求先との和解交渉時に、こちらが提示した請求額で和解成立したからといって安心してはいけません。請求先が一括払いではなく長期間にわたっての分割払いを希望した場合は要注意です。

そのような返還方法を希望してきた場合は、請求先の経営が苦しい場合があり、現に過払い金発生が明るみになってからその返還に追われ、大手銀行がバックについていない業者などは倒産に追い込まれたケースもあります。よって分割での過払い金返還中に業者が倒産してしまい、返還される予定だった過払い金が戻ってこないということも予想されます。

会社が倒産した場合、会社が完全に経営不可能となる「破産手続き」、そして会社を存続できる「民事再生」、「会社更生」という種類があります。後者2つの場合は過払い金は返還されますが、当初の返還額より大幅に金額が減りますし、破産手続きに至っては完全な返還は不可能となります。そのため、請求先が長期間での分割払いを希望してきたら注意が必要であり、交渉により短期間での返済を要求するようにしましょう。

過払い金訴訟は、より手間と時間がかかる！

自分での過払い金請求で和解交渉が成立しなかった場合は、交渉の第2段階として訟訴を行いますが、裁判で勝訴判決が出れば希望返還額のほぼ全額が返還されるというメリットがあります。しかし、裁判というものは手間と時間がかかるものです。

弁護士や司法書士に依頼をした場合は代行をしてくれますが、自分で訴訟を起こした場合はすべて自分で行わなくてはならず、裁判所へ行くのも自分以外に代わりにやってくれるものはいません。平日に裁判所へ行く場合は仕事などを休んで行かなくてはならず、裁判が長引けば長引くほど私生活に支障をきたします。

そして、法律についても詳しくなければいけないので、最初から裁判に関する知識があれば良いですが、法律に詳しくない場合はそれなりの勉強をしなくてはいけません。訴訟をする場合は、それなりの覚悟を決めて行う必要があります。

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労力を使う自分での過払い請求。請求する前によく考えよう！

以上の説明で分かる通り、過去のキャッシングで過払い金が発生した可能性がある場合、過払い金請求を自分ですることは法律上、可能となっています。しかし、自分一人での過払い金請求は大変な労力を必要とする作業です。弁護士や司法書士などを代理人として請求をするのではなく、自分で請求を行う場合には、過払い金の請求の流れの最初から最後までを把握する必要があります。

請求する前にどのような資料が必要か、過払い金の全額を知るにはどうすればいいかなどの知識をしっかりと頭に入れることが重要です。そして、請求をするにはどのような方法があり、どのような種類があるかを理解しましょう。さらに、請求の具体的な交渉、注意点なども頭に入れておきましょう。交渉時には、貸金業者は過払い金をなんとか減額して支払おうと、いろいろな和解案を提示してくるので、和解案の具体的な例と業者の意図も理解することが大事です。事前に知識を頭に入れておけば余裕を持って交渉を行うことができます。

過払い金の返還額を少しでも多くしたい場合は、裁判に持ち込む方法がありますが、自分で裁判を行うには費用と時間を消費します。自分一人で過払い金請求をする際は、メリットとデメリットをよく把握して、自分の今の生活と照らし合わせて、自分に都合がよければ自分ひとりで過払い金請求をしてみると良いでしょう。ただ、法律に関する知識も必要となるので、普段仕事などで忙しい場合は無理をせずに、弁護士や司法書士にお願いをするのが無難です。