過払い金請求をする際の大事な作業!「引き直し計算」とは

過払い金請求をする際の大事な作業!「引き直し計算」とは

監修弁護士 紹介

鬼沢健士(おにざわたけし)

  • 鬼沢健士(おにざわたけし)
  • じょうばん法律事務所
  • 茨城県弁護士会
  • 弁護士登録2010年

弁護士は裁判が仕事ですが、弁護士に頼む人にとっては一生に一度あるかないかの一大事です。そのことを肝に銘じて、誠心誠意取り組んでいます。また、できるだけお早めに相談してください。病気と同じで、放っておくと悪化するのが普通です。早ければ早いほど解決しやすくなります。

過去に貸金業者からキャッシング利用をした場合、過払い金が発生している可能性があり、そのような方は過払い金請求をする権利があります。過払い金の請求を行うには、過去にどれだけ過払い金を支払ったか具体的な金額を出さなくてはいけません。その過払い金の金額を出す計算が「引き直し計算」です。この計算は過払い金請求を行うために必要な作業となっています。
引き直し計算についての、計算方法や注意点などについて紹介します。

過払い金はいくらなのか、この計算法でわかる!引き直し計算とは?

過払い金請求をするには引き直し計算という計算方法を用いることによって、過払い金の金額を出すことができます。ここでは、引き直し計算が過払い金請求になぜ必要なのか、そもそも過払い金とは何なのか説明します。

過払い金ってなに?どのようにして発生する?

貸金業者からキャッシングをして返済する場合、返済額と一緒に利息も支払いますが、2007年頃までは多くの貸金業者が、本来キャッシングした金額にかかる利息以上の利息を取っていました。

その仕組みは、本来ならキャッシングに適用されている「利息制限法」という法律があり、キャッシングにかかる利率が決まっています。しかし、もうひとつの法律である「出資法」という法律は利息制限法以上の利率が設定されており、貸金業者は出資法のほうの利率をキャッシングの際に利用しました。

このふたつの法律が設定した利率の差は「グレーゾーン金利」と呼ばれていましたが、貸金業法の改正、施行及び出資法の改正により、キャッシング業務にかかる利息は利息制限法の利率に統一されることになりました。それによりグレーゾーン金利は撤廃されたのです。

よって2007年以前に貸金業者を利用していた方は、本来支払わなくてもいい余分な利息である「過払い金」を支払っている可能性があり、過払い金の返還を要求する権利があります。そして、過払い金請求をするには引き直し計算が必要になるのです。

過払い金請求のための重要な計算!引き直し計算とは?

過去に過払い金を支払っていた可能性がある場合、引き直し計算をしなければいけません。
引き直し計算とは、キャッシング利用者が過去に支払った過払い金の総額を出す計算方法です。正しい過払い金の総額を出さないと返還される金額が少なくなる可能性もあるのでしっかりと計算をしなくてはならず、過払い金請求においては重要な作業となります。

なぜ引き直し計算が必要なのか

過去のキャッシング利用により過払い金が発生し、その返還を貸金業者に要求する過払い金請求を行うためには、引き直し計算は必ずやらなくてはいけない必須作業です。
引き直し計算は過去に貸金業者を利用した際の履歴を元に計算をして、引き直し計算により出た金額を貸金業者に提示して過払い金請求をします。

この時期にキャッシング利用をして、本来はこの利息で支払うはずが必要以上にこれだけの支払わなくてもいい利息を支払ってしまった、よってこの支払わなくても良かった利息の金額を返還してほしいという内容で請求をすることになります。具体的な過払い金の総額の数字を提示することによって、過払い金が発生していることの証明になるので、引き直し計算は行わなくてはいけない作業なのです。

過去に貸金業者に支払った過払い金の総額が、引き直し計算の計算違いで間違った金額だった場合、請求先の貸金業者から「過払い金の金額が違うので支払うことはできない」と言われる可能性があります。よって引き直し計算は間違いがないようにしっかりと計算することが重要です。

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引き直し計算によって過払い金総額の目安を把握しよう

引き直し計算をすることによって、計算がしっかりと正しければ過去に支払った過払い金の総額を知ることができます。しかし、過払い金請求をすることによって、過去に支払った過払い金の全額が戻ってくるわけではありません。

過払い金は、直接に請求先である過去に利用した貸金業者との交渉により返還される額が決定します。その交渉の内容次第で返還される過払い金のパーセンテージが決まりますが、引き直し計算をすることによって、その計算により出た数字をもとに大体の返還額を事前に把握することができるのです。

これがないと引き直し計算ができない!「取引履歴」とは

過払い請求をするには引き直し計算をしなければいけませんが、引き直し計算をするにはまず「取引履歴」を手元に用意しなくてはいけません。
取引履歴とは、過去に貸金業者などからキャッシング利用をした際の明細書です。キャッシング利用をした年月日とキャッシング金額、返済した金額と返済した年月日をすべて確認することができる明細書です。

引き直し計算を正しく計算するために必要なものであり、過去にキャッシング利用をした証拠でもあるので、過払い金請求をする際には、過去に利用した貸金業者などから絶対に取り寄せないといけない明細書なのです。

開示する方法は、過去に利用した貸金業者などに文書や電話などで連絡をして取引履歴の開示を請求します。貸金業者などは過去にキャッシング利用をした利用者から取引履歴の開示を請求された場合、その請求に応じなければいけない義務があります。

しかし、そのような義務があるにもかかわらず、貸金業者の中には過払い金を支払いたくないために取引履歴の開示を渋る業者もいます。開示しても直近の数年間だけでの取引履歴を開示して、それ以前は利用の履歴がないと言い張る業者も中にはいます。取引履歴は過払い金請求をするうえで最も大事なものなので、そのような対応をされたら根気よく交渉をして正しい取引履歴を開示してもらうことが重要なことです。

実際に引き直し計算をやってみよう!

引き直し計算をするには、「グレーゾーン金利が適用されていた時代に支払った利息を含めた返済額の総額」と「今の金利で計算した場合の利息を含めた返済額の総額」を出さなくてはいけません。

かつてのグレーゾーン金利は当時の出資法により設定されていた、利息制限法の金利より高い数字である29%という金利が適用されていました。例えば当時100万円をキャッシングした場合、1年間で返済すると29%の金利で100万円に29万円の利息がつきます。よって当時のグレーゾーン金利時代には合計129万円の返済をしたことになります。

次にグレーゾーン金利が撤廃され、利息制限法のみが適用されている現在の金利で計算をします。100万円キャッシングをして1年後に全額返済をした場合、利息制限法の金利(10万円以上100万円未満の金利は18%)で計算をすると利息を含めた金額である118万円を支払うことになります。

グレーゾーン時代に実際に支払った返済額、そして本来の返済額の2つの数字が出たら、グレーゾーン金利の返済額から本来の返済額を引くことによって過払い金の総額が出ることになります。

つまり上記の例の場合は、129万円から118万円を引くとその答えは11万円となり、この11万円という金額が、本来支払わなくてもよかった過払い金となるのです。この数字をもとに過払い金請求を行うことになります。

ひょっとして過払い金が発生している?気になったら引き直し計算をしてみよう

引き直し計算は、過払い金請求を確実に行なうため、具体的な過払い金金額を出すために大事な計算方法です。はっきりと自分が過去に余分な利息を支払っていたとわかっているキャッシング利用者の方以外で、ひょっとして自分は過去に過払いをしていたのではないかと疑問視している方も、この計算方法で過払いをしているかどうかを確かめることがおすすめです。

そして、今もキャッシング利用をしていて返済をしている方も、グレーゾーン金利時代からキャッシングをしている場合は、過払いをしている可能性があります。そのような方は過払い請求をする権利がありますが、今も返済をしていてさらに過払い金請求をする際は注意すべきことがあります。

貸金業者の多くは過払い金を支払いたくないために、過払い金を支払わない代わりに今の返済中の借金をゼロにする「ゼロ和解」を希望してきます。ゼロ和解を希望する業者は、取引履歴を開示する前にその和解案を持ち出すことが多いですが、この場合、返済中の返済残高より過払い金の総額のほうが高いというパターンがあります。

そのため業者がゼロ和解を希望してきたら、すぐに和解案に乗らないでまずは取引履歴を開示してもらい、自分の過払い金を正しく出すことが大事なことです。

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自分でやってみよう!自分で引き直し計算をする場合のポイント

過払い金請求のために引き直し計算をする場合、弁護士や司法書士に一連の過払い請求の代行を依頼すると、引き直し計算も自分の代わりにやってくれます。しかし、弁護士などの専門家を通さずに自分で過払い請求をする場合は、引き直し計算も自分で行わなくてはいけません。

ここでは、自分で引き直し計算をする場合に注意する点、より確実に計算ができる引き直し計算専門の計算ソフト、引き直し計算の代行サービスなどについて説明します。

ここが要注意!自分で引き直し計算をするときの注意点

引き直し計算は、過去の返済総額から本来支払うはずだった返済総額を引く計算になりますが、引き直し計算をする際の注意点は、当時のキャッシングの返済の回数によって過払い金が異なるということです。

例えば、グレーゾーン金利時代に100万円を借りて29%の利息込みで返済総額が129万円の場合、利息制限法の18%の金利で計算をすると118万円になります。返済総額だけで引き直し計算をすると129万円から118万円を引いて過払い金は11万円となります。しかし、これは一括で返済した場合の計算です。

過去の返済を分割でした場合は、例えば1年で29万円を返済すると残りの返済残高は100万となりますが、翌年も29万円を返済すると、利息により29万円が増えているので、返済残高は昨年と変わらず100万円となります。返済額が変わらず29万円の場合、利息だけ支払って残高の100万はずっと減らないということになります。

これを利息制限法の金利で計算すると、利息込みで118万円になり1年間に29万円返済していくと、18%の利息込みでも6年目には返済後残高は7万円となり、6年目で完済できます。

つまり、本来は6年で完済できる金額を、過去の金利の場合は6年以上も返済をすることになり、6年目の支払いである29万円から7万を引いた22万円が過払い金になります。
このように一括払いと分割により計算が違うので注意が必要です。

引き直し計算専用ソフトを使おう!

過払い金請求のための引き直し計算は、引き直し計算をするための専用のソフトを使うことによって確実に計算をすることができます。
引き直し計算ソフトとは、引き直し計算に必要な数字を入力するだけで、自動的に引き直し計算ができるソフトです。

取引履歴によってわかった過去のキャッシングの年月日、返済額、利息などの数字を、ソフトの表のそれぞれ指定された入力フォームに入力すると自動的に計算をします。自分での計算を行うより正しく計算をしてくれるので、引き直し計算を行う際は使用するようにしましょう。

無料で使える!引き直し計算ソフト・ツールいろいろ

引き直し計算ソフトは、有料で販売されているものもありますが、無料でダウンロードできるソフトやネットのブラウザ上で計算ができるツールもあります。過払い金請求するまえに知っておきたい、おすすめの無料ソフト・ツールをいくつか紹介します。

1つめは64名の弁護士が加盟して運営している「名古屋消費者信用問題研究会」が、無料で提供している「利息計算ソフト」です。無料でダウンロードできますがエクセルがないと利用できません。
名古屋消費者信用問題研究会

2つめは弁護士法人ベリーベスト法律事務所のホームページで利用できる「過払い金計算機」です。キャッシング金額とキャッシング利用をしていた期間の数字をネット上の入力フォームに記入して「計算する」のアイコンをクリックすれば、自動的に過払い金の金額が表示される仕組みになっています。
ベリーベスト法律事務所

3つめは「過払い金チェッカー」です。キャッシング金額、残高、金利、契約期間を入力するだけで大体の過払い金の金額がわかります。
借金.info

専門家に依頼してみよう!

ご自分で引き直し計算をして過払い金請求を行うことは手間のかかる作業です。専門家(弁護士、認定司法書士)に依頼すれば、その手間のかかる引き直し計算や他の過払い金請求のための作業を代行してくれます。難しくて自分ではできないという場合には、早めに依頼した方がいいでしょう。専門家に依頼すれば、引き直し計算から返還請求まで代理してくれます。

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間違いのないように正しく引き直し計算をしよう!

過払い金請求を行う手順は時間がかかり、一つひとつの手順も手間のかかるものです。そのうちのひとつである引き直し計算は、過払い金を請求するうえで、いくらの過払い金があるかという証拠になるので、間違いのないように計算をしなくてはいけません。

引き直し計算は、何が必要でどのようなことに注意したらいいのか事前にしっかりと把握して、正しい数字を出すことが大切です。

弁護士が教える過払い金請求