過払い金請求と住宅ローン審査の関係

過払い金請求と住宅ローン審査の関係

監修弁護士 紹介

鬼沢健士(おにざわたけし)

  • 鬼沢健士(おにざわたけし)
  • じょうばん法律事務所
  • 茨城県弁護士会
  • 弁護士登録2010年

弁護士は裁判が仕事ですが、弁護士に頼む人にとっては一生に一度あるかないかの一大事です。そのことを肝に銘じて、誠心誠意取り組んでいます。また、できるだけお早めに相談してください。病気と同じで、放っておくと悪化するのが普通です。早ければ早いほど解決しやすくなります。

過払い金とは簡単に言えば払いすぎたお金のことですが、払いすぎたのだから返してと簡単に請求できるものではありません。そもそも過払い金があるのかを確認する必要がありますし手続きも複雑です。それでも、お金が戻ってくるのなら手間を惜しまないという人は多いかもしれませんが、住宅の購入を考えている、つまり住宅ローンを組む予定がある人には、住宅ローンの審査に響く可能性も心配なのではないでしょうか。そこで今回の記事では、過払い金請求と住宅ローン審査の関係を説明します。

過払い金って何?どうやって請求するの?

そもそもなぜ過払い金というものが発生するのでしょうか。その原因は利率に関する法律である利息制限法と出資法にあります。利息制限法と出資法では、別々の利率を上限として定めていました。出資法では29.2%を上限金利とし、それを越えたら刑事罰が科せられます。利息制限法では借入金額にごとに15%、18%、20%という制限利率を定めているのですが、それを超えても罰則はなく、債務者に返還を要求された場合に返せばいいだけです。

つまり、度を超えた金利に対する罰則を出資法で、罰則を与えるほどではないが望ましくない金利への対応を利息制限法で定めていたということです。そして、出資法以下ではあるものの、利息制限法を越えている利率を「グレーゾーン金利」と呼びます。このグレーゾーン金利によって発生したのが「過払い金」というわけです。

もうひとつ、「みなし弁済」という規定も問題となりました。みなし弁済とは、一定の条件を満たしているときにグレーゾーン金利を正当な金利とみなすというものです。債務者が弁済したら貸金業者はすぐに明細を発行して債務者に送る、債務者が異議を申し立てないなど、条件は厳しいものではありますが、知識のない債務者にはどうすることもできませんでした。

そのようにして違法金利が正当化されていたのですが、2006年に最高裁でみなし弁済を認めないという判決が下ってからは、みなし弁済が認められることはほとんどなくなりました。2010年には利息制限法と出資法が改定され、みなし弁済がなくなり、出資法における上限金利が20%にまで引き下げられてグレーゾーン金利もなくなったのです。また、制限利率が15%、18%の借入の場合は、20%を越えていなくてもそれぞれの制限利率を越えていたら行政処分の対象となります。

過払い金を請求するにはいくつかの段階を踏む必要があります。まずは、貸金業者に取引履歴を請求しましょう。次に、その取引履歴を元に過払い金請の引き直し計算します。借金を完済しているなら全額を請求できますし、完済していないなら差額がプラスになれば請求できます。

それでも借金が残る場合は過払い金とみなされないので注意が必要です。手続きや計算が自分ででき、貸金業者も素直に応じてくれればすんなりと事が運びますが、手間がかかりますし計算も複雑になるので、多くの場合は弁護士や司法書士といった専門家に頼むことになるでしょう。

また、貸金業者が返還に素直に応じない場合は裁判になることもあります。なお、過払い金の請求権は取引終了時から10年を過ぎると失ってしまうので気を付けましょう。

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過払い金請求をしたら住宅ローンは組めない?

過払い金請求とはお金を請求することですから貸金業者にとっては都合の悪いことです。ですから、一度過払い金請求をしてしまったら住宅ローンなどの融資も受けられなくなってしまうのではないかと心配している方もいるかもしれません。住宅ローンの審査にはブラックリストや信用情報が関わってくるのですが、過払い金請求とそれらの関係を知ればその心配もなくなるでしょう。

ブラックリストって何?

一般に、ブラックリストとは危険人物を登録しておくためのリストという認識があるのではないでしょうか。金融におけるブラックリストも似たようなもので、クレジットカードを利用したり住宅ローンを組んだりした人が、返済の遅延や破産などの貸金業者にとって良くないことを起こしたときに登録されます。

ただし、正確にはブラックリストというものは存在せず、信用情報に遅延や破産などの情報が載ることをブラックリストに載ると表現しているだけです(信用情報とは、返済に関する情報を記録したものです。)。

過払い金請求することではブラックリストに載ることはありません。過払い金請求をブラックリストに載せていた金融業者もありましたが、平成22年1月に金融庁が過払い金請求をブラックリストに登録することを禁止してからは、過払い金請求をしてもブラックリストに載ることはなくなりました。

住宅ローン審査への影響はない!

住宅ローンの審査には信用情報も判断材料のひとつとなります。そして、過払い金請求をしてもブラックリストには載りません。つまり、過払い金請求は住宅ローンの審査に影響がないということです。

そもそも貸金業者にとっての過払い金請求は、貸金業者がお金を返すことになるという意味で都合が悪いのであって、返済能力が低い相手に融資をするという意味で都合が悪いのではありません。ですから過払い金請求は、住宅ローンの審査において重要な返済能力のチェックには影響しないのです。

もちろん、今組んでいる住宅ローンへの影響もなし!

現在、住宅ローンを組んでいる場合に過払い金請求をしたらどうなるのかというと、もちろん影響はありません。審査を通過した時点で借金があったとしても、それは貸金業者も容認しています。

問題となるのは審査通過後に新たに借金をすることですが、住宅ローンを組んでいる状態でお金を借りるのは難しいでしょう。そして、そもそも過払い金請求は債務を増やすのではなく資金を増やすことになるので、融資をする側にとってはむしろ好都合な場合が多いです。

ローンの審査は信用情報が重要

収入や職業、家族構成など、その人の状況や性質を表す情報を属性情報といいます。一方、借金の返済に関する情報は信用情報といいます。個人間でも信用がないとお金を借りられないように、金融業者にお金を借りるときも信用というのは大切です。そして、信用というのは行動によって得るものですから、返済に関する行動が情報として記録され、その情報が借り手を信用できるかどうかの判断材料とされるのです。この信用情報は属性情報と同じくらい、場合によってはそれ以上に重視されます。

信用情報は指定信用情報機関に保管されています。クレジットカードの発行審査やローンの審査などの際に、金融業者は属性情報と信用情報をチェックして審査するのですが、それまでに金融サービスを一切利用したことのない人は信用情報がありません。

情報が記録されるのは怖いことのようにも感じますが、事故を起こさずに、きちんと返済しているという情報はプラスの情報となり審査で有利に働きます。一度でも金融サービスを利用したことがある人は、必ず個人信用情報も登録されているので、きちんと返済していれば次の審査も通りやすくなります。

ただし、有利に働くのは正常な情報に限るので、ブラックリストに載っていると借りられなくなる、あるいは希望より少ない額だけしか貸してもらえないでしょう。過払い金請求をしても信用情報には載らないので、住宅ローンの審査には影響しません。

返済中の過払い金請求は要注意!

では、過払い金請求をしたことで住宅ローンを組めなくなるのはどのようなときなのでしょうか。まず、過払い金の正確な定義を把握しておきましょう。過払い金の定義は「支払わなければいけない金額以上に支払ったお金」です。支払わなければいけない金額というのは元本とその利息です。グレーゾーン金利で支払っていたのなら元本+正当な利息以上に支払っている可能性があり、その分が過払い金となります。つまり、元本と正当な利息を完済し、それでも支払いすぎている分が過払い金ということです。

グレーゾーン金利で借金をしたことのある人は、借金を完済している場合、支払いすぎた分を受け取るだけなので確実に過払い金が発生するのですが、まだ完済していない場合は注意が必要です。すなわち、過払い金請求をするために過払い金の計算をしたところ、過払いになっておらず債務が残る場合があります。その場合は任意整理をしたとみなされ、ブラックリストに登録されてしまいます。

そして、任意整理の情報は記録されてから5年間保管されます。ですから、過払い金を「グレーゾーン金利で支払った利息」だと認識して過払い金請求をすると、その後5年間は住宅ローンを組めなくなってしまうかもしれません。

請求した貸金業者と住宅ローンを組む金融機関が関連会社なら、住宅ローンを組めないかも

過払い金請求が指定信用情報機関に提供されることはありませんが、請求した貸金業者の内部情報としては保管される場合がほとんどです。過払い金請求は貸金業者にとって良いことではありませんから、一度過払い金請求をした人が再度申し込んでもまず借りることはできません。

そして、多くの貸金業者は関連企業に他の貸金業者がいて、その貸金業者にも過払い金請求の情報が渡っています。関連企業とはいえ別の会社なので、審査基準にその情報を取り入れるかは定かではありませんが、影響がする場合もあるでしょう。住宅ローンを組もうとしている銀行の関連企業の貸金業者に過払い金請求をしたならば、その住宅ローンが組めない可能性もあるということです。

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過払い金請求後だけど住宅ローンを組みたい!

過払い金請求をした後でもいくつかの点に気を付ければ、住宅ローンに影響することはありません。住宅ローンの審査には属性情報と信用情報で判断されるので、過払い金請求に関係なく審査に落ちることはありますが、少なくとも過払い金請求が原因となることは避けられます。

完済してからが無難

前述したとおり、過払い金は元本+正当な利息以上に支払ったお金のことです。つまり、借金が相殺されずに戻ってくるお金が過払い金で、借金が残ってしまった場合は過払い金とはみなされません。

今の時点で借金が残っていても、過払い金請求自体はできますが、返還されたお金で借金を完済できなければ任意整理となり、ブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ってしまうと住宅ローンに限らず、クレジットカードやキャッシングの審査にも悪影響を及ぼしてしまいます。ブラックリストの情報は向こう5年間消えません。それを考えると、完済してから過払い金請求をしたほうが確実です。

返済中なら気を付けて

では、借金が残っている場合は住宅ローンを組むことはできないのでしょうか。借金が残っていることは信用情報に記録されているので、そのままでは審査を通る可能性は低いでしょう。ですから、すぐにでも住宅ローンを組みたいなら過払い金請求で返還されたお金で借金を完済する必要があります。

しかし、完済できなければブラックリストに載ってしまうので、しっかりと計算してから請求することが大切です。過払い金の計算には引き直し計算という複雑な計算が必要になるので、専門家に頼むのが無難です。依頼料はかかってしまいますが、自己判断で請求して完済できずにブラックリストに載ってしまうよりは安全です。もし、足りなければ住宅ローンを組むのは難しいので、もう少し借金の返済を進めてからにしましょう。

住宅ローンを組んでから請求する

住宅ローンを組んでから過払い金請求をするという手もあります。この場合の条件は、住宅ローンを組めるほど借金の額が少ないこと、返還金の額も少なくて借金を完済できないことです。

返還金が十分な額であれば、完済してから住宅ローンを申請したほうがいいでしょう。任意整理の情報は5年間残り続けるので、過払い金請求をしても完済できずにブラックリストに載ってしまう可能性があるなら、借金が残っている状態で申請したほうがリスクは少ないです。

もし通らなくても、それは信用情報に残らないので、過払い金請求で完済できそうにないけどすぐに住宅ローンを組みたいという人は、ダメもとで申請するという選択肢もあります。

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「過払い金」が発生するなら請求しても問題なし!

過払い金とは元本と正当な利息以上に支払ったお金のことで、貸金業者に請求した後で過払い金が戻ってくるようであれば、住宅ローン審査にも影響しません。しかし、借金が残ってしまうなら任意整理となってしまい、信用情報に記録されるため好ましくありません。ですから、完済してから請求すると確実です。返済中に請求したいなら、確実に過払い金があるという状態であることを確認しましょう。

弁護士が教える過払い金請求