過払い金請求を自分でする方法の流れと注意点・デメリット
過払い金請求は自分でもすることができる
過払い金請求は、自分だけで行うこともできます。
自分で過払い金請求する事によって、取り戻した過払い金から報酬を差し引かれることがなくなります。
しかし、その分手続きに時間や手間がかかるうえ、実際よりも低額の和解に持ち込まれるリスクもあります。
そういったことを回避するために、過払い金請求の専門家に依頼する方法があるのですが、専門家に頼らずとも手順をしっかりと手続きを進めていけば、自分の力で過払い金請求はすることができます。
電話交渉を通じて和解を成立させるだけでなく、納得いく結果にならない場合には、自力での裁判所へ訴訟を起こすことも可能です。
ただし、訴訟を起こす時は、されに時間と手間がかかることは覚悟しておきましょう。
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自分で過払い金請求を行う方法
- 2-1:貸金業者に取引履歴を請求する
- 2-2:過払い金の引き直し計算をする
- 2-3:引き直し計算のやり方
- 2-4:貸金業者へ過払い金請求
- 2-5:貸金業者と交渉
- 2-6:任意交渉と裁判での和解がある
- 2-8:訴状の書き方
- 2-9:過払い金の入金
貸金業者に取引履歴を請求する
過払い金請求を行うためには、自分で手続きを進める方法と弁護士などの法律事務所に依頼する方法があります。
自分で手続きを行うためにまず必要な物は、賃金業者が保管している取引履歴です。
取引履歴には、これまでの借金の総額・返済履歴などの情報が載っているため、これを基に過払い金の有無を確かめたり、金額を求めたりすることができます。
取引履歴を開示してもらうためには、電話などで問い合わせが必要です。
郵送や窓口での受け取り方法が一般的ですが、賃金業者によってそれぞれ異なるため事前に確認しておきましょう。
10日ほどで入手できる場合もあれば、受け取りに1ヶ月〜2ヶ月ほどかかってしまうケースも少なくありません。
過払い金の引き直し計算をする
賃金業者から取引履歴を入手できたら、その内容を基に過払い金の計算を行います。
過払い金請求を行う経験は、そう何度もあることではないため計算方法を知らない人がほとんどです。
支払いすぎていた利息を計算するためには、引き直し計算と呼ばれる方法を用います。
元金100万円以上であれば年利15%までと言うように上限利率が決められていますが、利息制限法が施行される前はこの利率が曖昧でいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれる利息が発生していたのです。
引き直し計算とは、現在の利率と比較し、利息を合わせた借金は本来いくらであったのかを計算する方法です。
過去の借金総額と計算し直した金額を差し引くことで、過払い金を求めることができます。
仕組みがわかるととても簡単に思える計算方法です。
しかし、返済の間に新たな借り入れを行っていたり分割で返済していたりすると計算が複雑になります。
正確に過払い金を求めるためには、いかにこの計算を一つ一つ丁寧に行うかがポイントです。
便利な無料ソフトもあるため、金額や取引期間などの情報を入力するだけで簡単に計算を進めることができます。
自分で過払い金請求をする場合には、引き直し計算をサポートしてくれる無料ソフトを利用してみるのも1つの手です。
引き直し計算のやり方
10万円を借りた場合、29%のグレーゾーン金利が発生すると1年後の借金総額は12万9千円になります。
この借金総額に含まれている利息は2万9千円です。
利息制限法に基づいた年利18%で計算すると、本来支払うべき利息額は1万8千円となります。
単純にこの差額を計算すれば、過払い金として受け取れる金額を計算することが可能です。
複雑な返済方法をしていたり、追加で借入をしていたりしてない場合は、手作業で効率よく求めることができます。
エクセルが使える場合は、無料ソフトを利用して借入日や借入金額を入力していきましょう。
弁済額の欄には、返済した金額を正確に入力することが大切です。
計算を進めていく中で、マイナス表記になれば過払い金が発生していることを表します。
貸金業者へ過払い金請求
取引履歴書を貸金業社から取り寄せて過払い金の計算ができたら、賃金業者に対して過払い金請求書を送付しましょう。
過払い金請求書を送ると、貸金業社から連絡が来て和解交渉となります。
請求した金額よりも少ない金額での和解を求められるケースがほとんどなので、自分の主張を貫くことが大切です。
貸金業者と交渉
過払い金請求を自分で行う場合には、貸金業者と自分で交渉する必要があります。
通常の場合はこちらからの過払い金請求の申し出に対して、貸金業者から電話や書面といった方法で連絡が入り、こちらに支払ってくれる過払い金の額やその支払いの期日が提示されます。
しかし貸金業者によっては、こちらに支払う過払い金の額を減額して提示してきたり、かなり先の支払いや分割での支払いを持ちかけてきたり、こちらに不利な条件での返還をしようとする場合もあります。
もちろん、自分がその条件で納得できるならば貸金業者と和解し、過払い金の返還を受けることができます。
しかし、その返還額や支払いの方法・期日などに納得できない場合は和解せず、裁判所に過払い金返還請求訴訟を行うことになります。
任意交渉と裁判での和解がある
過払い金の返還に際し、自分の請求と貸金業者からの要求の解決点を見つけてお互いが了承することを和解と言いますが、その和解には先に述べたような直接交渉の末の和解の他に、裁判で至る和解というものもあります。
過払い金返還請求訴訟の場合、返還される金額やその返還の条件などについて貸金業者と争うことになる訳ですが、その裁判の最中に再度業者から和解交渉を提案されることがあります。
この場合、裁判前の和解案より、好条件の和解案が提示される可能性が高くあります。
ですので、もし納得できるものであれば、応じることで和解することができます。
また、裁判の際に裁判官から減額した額での請求などを求められることもあり、それに応じれば裁判での和解ということになります。
もし再度の提案や裁判官からの提案に関しても受け入れない場合は、裁判にて請求する意思を伝えましょう。
ただし、裁判の長期化を避けたい場合などは、満額での受取りにこだわり過ぎないことも大切になります。
裁判所に過払い金返還請求訴訟をする
過払い金の返還に応じない場合や、提案された和解交渉では納得いかない場合は、過払い金返還請求訴訟を起こします。
その際、別途で裁判費用がかかるのと、訴訟を起こすためには必要な書類を作成したり、出廷したりする必要があります。
必要になる書類は、訴状や取引履歴や過払い金請求書、商業登記簿謄本などです。
これらの書類も自分で用意しなければいけなく、知識が必要になる作業のため非常に手間と時間がかります。
訴訟を提起することができたら、裁判所から和解の提案が来ますが、相手のペースに合わせ減額で和解するのではなく、満額取り戻せるよう粘り強く対応する必要があります。
訴状の書き方
過払い金請求の訴状は2つの項目についてテンプレートに沿って記載すればよいので、書き方を学べば専門家に任せなくとも誰にでも書くことができます。
その2つの項目とは請求の趣旨と請求の要因です。
請求の趣旨とは、どのようなことを目的として過払い金請求の訴訟を起こすのかという包括的な内容を示すものです。
ほとんどの場合では、「1被告は原告に対し、金(過払い金元金と利息の合計金額)円および内金(過払い金元金額)円に対する平成○○年○○月○○日から支払い済みまで、年5%の割合による金員を支払え。2訴訟に関する費用は被告の負担とする。」と記載します。
1に関しては人によって異なるので、間違いのないように気を付けましょう。
また、請求の要因に関してはなぜその過払い金請求が起こったかについて記載します。
過払い請求は毎年多くの人が行っているので、自分と同じ状況の訴状を見つけ出してその書き方に沿って書けば大丈夫です。
多岐にわたるパターンが存在するわけではないので基本的にはインターネット上などで簡単に見つけることができます。
また、訴状の印紙代については訴額によって変化します。
訴額が10万円程度ならば1000円で済みますが、1000万円程だと5万円近くまで上ります。
過払い金の入金
過払い金請求を行って入金されるまでには、勝訴判決や和解成立後おおよそ2〜4ヶ月となることが多いようです。
過払い金を受け取るのは、基本的に口座振り込みになっています。
希望すれば、事務所で現金を受け取れるようにしてくれる法律事務所もあるので、相談してみましょう。
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自分で過払い金請求をするデメリット・メリット
- 3-2:自分で過払い金請求をするメリット
自分で過払い金請求をするデメリット
過払い金請求は自分で行う事も出来ますが膨大な手間がかかったり、専門的な知識が必要だったり、デメリットが存在します。
①手続きに多くの時間がかかる
法律上過払い金請求は素人で行うことができるものですが、いくつもの手続きが必要で、賃金業者に取引履歴を取り寄せたり、書類を作成したり、訴訟する場合は出廷する必要があったりと、とても時間と労力がかかるものです。
また、自分で取引履歴を取り寄せようとすると、個人だからと後回しにされて届くまでに時間がかかったりすることもあります。
このように自分でやる場合は、越えなければいけない障害がいくつもあります。
②取り戻せる過払い金額が減る可能性がある
自分で過払い金請求を行うデメリットとして大きいのが、取り戻せる過払い金額が減る可能性があるということです。
多くの場合、過払い金請求は専門家である弁護士や司法書士が行うので、それに対応する賃金業者の担当も法律に長けているプロになります。
そのため、個人で行う時は慣れていないことが伝わってしまい、本来なら取り戻せるはずの金額より少ない金額で和解交渉してきたり、債務を互いになしにする「ゼロ和解」を提案してきたりする可能性があります。
もし、これを理解していても、個人であるとわかったら向こうは強気で交渉してきますので、交渉が大変になるので覚悟が必要になります。
③家族にバレてしまう
自分で過払い金請求を行う場合は、取引履歴などの賃金業者とのやりとり、裁判所からの通知等、自宅に届いてしまうので、家族にバレてしまう可能性があります。
郵便物は郵便局留にするなど、工夫をする必要が出てきます。
④返済中の場合は、返済や取立てを止めることができない。
過払い金請求時に返済や取立てを止めるには、受任通知を賃金業者に送る必要があります。
しかし、これは介入通知と呼ばれているものでもあり、連絡や交渉に専門家が入る際に送るものです。
ですから、個人で行う場合は送ることができません。
そのため、返済や取立てを止めることができず、交渉をしている間にも返済を続けなければいけなくなります。
この様に過払い金請求を自分で行うにはデメリットが多くあり、専門的な知識や交渉スキルなども求められます。
確かに、自分で過払い金請求を行うと専門家への費用は発生しません。
ですが、ご自身で交渉した結果、回収額が少なくなれば、労力ばかりかかって、結果的にメリットがデメリットになる場合もあります。
そのためご自身で請求を行う際は、デメリットを理解した上で、本当に今の状態でも行うことができるのか検討してみることが大切になります。
自分で過払い金請求をするメリット
自分で過払い金請求を行う場合、デメリットだけではなくメリットもあります。それは司法書士や弁護士の専門家に依頼する費用がかからなくなることです。
通常専門家に過払い金請求を依頼すると、着手金や成功報酬、過払い金報酬などの費用がかかります。
そのため取り戻した過払い金から、費用が引かれることになります。
ですが、自分で過払い金請求をする場合は、過払い金の計算や賃金業者との交渉など、手続きの全てを自分で行うことになりますので、これらの費用が一切かかりません。
また、手続きが複雑な為専門的な事を勉強する必要があります。
ですので、1から自分で行うとなると、知識をつける事から始まり知識を自然と身につけることができます。
時間と手間はかかりますが、その分取引の詳細を自分で知る事ができる為、納得した上で過払い金の請求や取引を進める事ができるようになります。
できる限り費用を抑えたかったり、きちんと納得した上で過払い金請求を行いたかったりする場合は、自分で請求する事を前向きに考えてみることも有効な手段となります。
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自分で過払い金請求をする際の注意点
交渉時にゼロ和解に注意
自分で過払い金請求をしようと貸金業者に取引履歴の開示を求めた際に「借金をなかったことにして和解しませんか」と持ち掛けられることがあります。
これがいわゆる「ゼロ和解」と言われるもので、貸金業者が取引履歴を開示して多額の過払い金を支払うことになるならば、残り少ない借金の残額を帳消しにしてその債務から逃れようとするものです。
実際、借金を返済中の人にとって、その返済がなくなることはとてもありがたいことなので、ついその提案に乗ってしまいそうになります。
しかし、その提案がなされるということは借金の残額より受け取れる過払い金の方が多いことが予想されるので、決して安易にその提案には乗らないように気をつけましょう。
また、ゼロ和解以外にも気をつけなくてはいけない和解があります。
それは分割での過払い金の返還を提案してきたり、「すぐ支払うので60%の支払いにしてほしい」などの割引を要求してくる場合です。
どの場合も貸金業者側は自社の損が小さくなるように考えていますので、自分が納得できない場合は毅然とその提案を断り、納得できる内容になるまで毅然と交渉するようにしましょう。
ただし、どうしてもその交渉が上手くいかない場合は司法書士などのプロの手を借りることも1つの方法です。
長期期間の分割払いに注意
こちらの請求した金額を賃金業者が支払うといったものの、分割払いを求めてきて、返済期間が長期にわたるものである場合には注意が必要です。
なぜなら、その長期にわたる返済期間の間に、過払い金請求をした賃金業者が、倒産をしてしまえば、その倒産をしてしまった時点から、過払い金の返済は難しくになってしまうためです。
こういうことが起きうる可能性があるので、自分が思っていたよりも少ない額を提示されたとしても早期に回収したほうが良いケースもあることも覚えておきましょう。
自分で過払い金請求をする時は、当該賃金業者の経営状態もきちんとチェックすることが重要になります。
過払い金訴訟を起こす場合はより時間と手間がかかる
これまで見てきたように自分だけで過払い請求する場合は、引き直し計算をして過払い金がいくらあるか確認したり、賃金業者と直接交渉をしたりと、非常に時間と手間がかかります。
また、過払い金請求は法律も関わってきますので、専門的な知識や経験も必要となります。
そのため和解するだけでも、大変なものです。
しかし、もし和解では納得できる提案がもらえず、訴訟を起こして裁判で取り戻す場合、より時間と手間がかかることになります。
過払い金訴訟を起こす際には、訴状などの必要書類を揃えなければいけなかったり、別途で訴訟費用がかかったり、時間と手間だけではなく追加でお金もかかります。
確かに、訴訟を起こすことで利息+満額で取り戻すことができます。
ただし、これだけを見て安易に過払い金訴訟をすることは危険です。
自分で訴訟を起こすということは、仕事をしながら裁判所に出廷しなければならないということです。
他にも、交通費などの裁判のための実費もかかります。
このように自分で過払い金訴訟を起こす場合は、リスクも多くあることを理解しておく必要があります。
そのため、自分にとって訴訟することでメリットがあるのか、総合的に判断することが必要となります。
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