クレジットカードの過払い金請求の条件と注意点

クレジットカードの過払い金請求の条件と注意点

クレジットカードは過払い金請求の対象になるのか

クレジットカードには2つの機能がある

クレジットカードには、キャッシング枠とショッピング枠の2つの機能があります。
お店やネットで商品を買う事ができるショッピング機能があり、この買い物の代金の限度額の事をショッピング枠と言います。

クレジットカードは銀行のATMなどでお金を引き出す事ができますが、この機能の事をキャッシングと言い、この借りる時の限度額の事をキャッシング枠と言います。

クレジットカードのキャッシング枠は過払い金請求ができる

過払い金とは端的に言うと払い過ぎた利息のことです。
借金返済時に法律で定められた以上の利息を貸金業者に支払っていた人は、その差額を返してもらうことができます。それが過払い金請求です。

過払い金の請求先にはクレジットカード会社も含まれます。
貸金業法改正以前、具体的には2007年以前にクレジットカード会社でキャッシングを利用しその返済を行っていた方は、過払い金が発生している可能性が高いです。
それ以降は改正に合わせて金利が下げられているので過払い金は発生しません。

ただしカード会社によって金利が下げられた時期には差がありますので、過払い金請求を行う際は事前に確認が必要です。

また、クレジットカードで過払い金の対象になるのはキャッシングのみであることにも注意してください。

クレジットカードのショッピング枠は「借金」ではないので過払い金は発生しない

どうしてクレジットカードのショッピングは過払い金の対象にならないのでしょうか。それはキャッシングとショッピングとでは法律上の扱いが異なるからです。

キャッシングの利用が借金扱いになるのに対し、ショッピングの利用は立替金という扱いになります。
商品等を購入した際に本来支払うべきお金を、一旦カード会社が立て替えて支払い、後日利用者に請求するという仕組みです。
このためショッピングのリボ払い等で生じた手数料に関しては、過払い金の対象にはなりません。

また、キャッシングとショッピングを両方利用しているという方の場合、過払い金請求をした際にショッピングの残債が残っていると、過払い金はそちらと相殺という形になります。
実際に支払われるのはキャッシングで発生した過払い金とショッピングの残債の差額のみになるので注意が必要です。

クレジットカードのキャッシングで過払い金が発生している主な業者

以下は、クレジットカードでの過払い金が発生している主な業者です。
当時のキャッシングの金利をあわせて掲載していますので、心当たりがある方は確認してみてください。

尚、借入時期等で差がある場合もありますので、注意してください。

・エポスカード/金利27%
・クレディセゾン/金利24~25%・UCカードの場合は27.8%
・三菱UFJニコス/金利~29%
・オリエントコーポレーション(オリコ)/金利29.2%
・セディナ(旧OMCカード、セントラルファイナンス・クオーク)/金利25~29%
・イオン/金利~25.6%
・アプラス/金利21~29%

いずれも完済後10年が経過すると過払い金請求の権利を失います。
過払い金の請求を検討している方は、早めに手続きを行うようにしましょう。

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キャッシング枠のリボ払いは過払い金請求ができる

クレジットカード利用における過払い金請求についてはショッピング枠とキャッシング枠で請求権の適用が異なります。
ショッピング枠の金利は利息制限法の対象とはならない割賦販売法における手数料であり、立替金として扱われている為請求権は発生しません。
一方、キャッシング枠の金利については金銭消費賃借契約に基づく貸付金に当たる為、利息制限法の適用対象となります。

特にリボ払いについては2008年以前までは、金利20%以上のグレーゾーン金利でサービスを提供している銀行が多かったので、その該当者は過払い金請求権に基づいて余分に支払ったお金を取り戻すことが可能です。
自分はたいした額は借りていないという方でも、支払い方式がキャッシングのリボ払いで、元利均等返済方式で支払っていた場合は確認が必要です。

なぜならば、キャッシングリボでは元利均等返済方式での支払いが多く、毎月の一定額返済で総額が減らないのに加えて、元利均等返済方式の適用によって元本よりも利息が先に多く支払われる為、借入金と比較して予想以上の返済額を支払っている場合があるからです。
ですので、一度自分が支払った返済額と利息について確認してみる必要があると言えます。

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クレジットカードの過払い金請求をする際の注意点

過払い金請求をしたクレジットカードは使用できなくなる

過払い金請求を行うと、原則としてそのクレジットカードは使用できなくなります。
過払い金請求を行うとその時点で、クレジットカードを解約したと見なされるからです。
これは過払い金請求対象となるキャッシングの機能に限った話ではありません。

過払い金請求以降は、クレジットカードに付加されているショッピング枠やETCも使用できません。
公共料金等の引き落としを設定している場合も同様ですので、予め別の引き落とし先に変更するなどの対処が必要になります。

解約扱いになるのは過払い金を請求したカードのみであるため、基本的に他社のカードはこれまで通りに使うことができます。
ただしこれには例外が存在します。

まずは過払い金の請求先と同じ会社のカードを利用している場合です。
この場合は、もう一方のカードも使用できないということになります。
以前は別々の会社であったがその後合併したという場合も同様です。

もう1つは過払い金請求時に残債が残っている場合です。
過払い金はまず残債の支払いに充てられ、その後手元に戻る形になります。
ここで過払い金よりも残債が多かった場合には、任意整理とみなされ信用情報機関に事故情報として登録されます。
そうなると請求先以外のカードも使用できなくなってしまいます。
残債が残っている場合には、その額にも注意するようにしてください。

返済中の場合はブラックリストに登録される可能性がある

借金を返済中の過払い金請求には注意必要です。

取り戻した過払い金で借金を完済できなかった場合は、任意整理扱いになり信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。
いわゆるブラックリストに登録された状態です。
そのため最低でも5年間は、新規の借入やクレジットカードの作成ができなくなります。

クレジットカード会社に過払い金請求をする場合にはショッピング利用分の残高も元本に含まれてしまうので、より一層注意が必要になります。

ショッピング枠の債務がある場合もブラックリストに登録される

クレジットカードでお金を借りて過払い金が発生した場合は、当然過払い金請求をすることができます。
ただしこのとき注意が必要なのは、キャッシングの過払い金を請求するときに、ショッピング枠の債務がある場合です。

過払い金とショッピング枠の債務があるときには、それぞれが相殺されてしまいます。この時、債務の方が大きい場合は債務が残ってしまうことになるので、ブラックリストに登録されてしまう可能性あります。

またショッピングの残額がある場合は、キャッシング部分だけの過払い金請求をすることはできません。
ショッピング枠もキャッシングも、同じものと考えられているからです。
その結果、債務が残っていればブラックリストに登録されてしまいます。

そのためクレジットカードの過払い金請求する際は、ショッピング枠の債務がないことを確認しましょう。
もし債務が残っている場合はそちらを先に返済することが大事になります。

関連会社のクレジットカードやローンの審査が組めなくなる可能性がある

過払い金請求をした業者からは、新たなクレジットカードを作成したり再びローンを組んだりすることができなくなります。
完済後の過払い金請求であれば、ブラックリストに登録されることはないので他の業者からは、クレジットカードの作成ウィすることができます。

しかし、請求した業者の関連会社には注意が必要です。
というのも、過払い金請求をした業者だけでなく、その関連会社からもクレジットカード作成やローンを組むことができなくなる可能性があるからです。
関連会社の場合、その属しているグループで情報が共有されることがあるからです。
そのため過払い金請求したことがわかり、断られてしまう可能性があります。

もちろん、絶対に関連会社と取引きができなくなるわけではありません。
ただし、その可能性があることは知っておいたほうが良いでしょう。

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過払い金請求をした後にクレジットカードを作れるのか

完済している場合は過払い金請求をしてもクレジットカードの審査へ影響はない

過払い金請求を行う際に気になるのが、ブラックリストへの影響です。
過払い金を請求したという事がブラックリスト、つまり信用情報機関のリストに載るとクレジットカードが使用できなくなったり、新たにクレジットカードを作ろうとしても審査に落ちてしまう事が起こりえます。

ですが、実は借金を完済していれば、過払い金請求を行っても何も影響はありません。
実際、2010年までは完済していてもクレジットカードが作れなくなるなどの影響がありました。
ですが、国からの指導が消費者金融側にあり、完済している過払い金請求をしてもブラックリストに登録されることは無くなりました。

過払い金請求をして債務が残ってしまう場合はクレジットカードが作れない可能性が高い

借金を完済後に過払い金請求をした場合は、問題なくクレジットカードは作れます。
ただ、過払い金請求をした対象先のカードは使えなくなります。
さらに同系列の会社のクレジットカードも利用できなくなる恐れがあります。
吸収・合併などがあった場合も、使用できなくなることがあります。

ただし、債務が残っている段階で過払い金請求をした場合には注意が必要です。
この場合でも、取り戻した過払い金によって債務を完済することができれば、特に問題はありません。
そのためクレジットカードは、問題なく作ることができます。

しかし、債務を完済しきれず残ってしまった場合、任意整理扱いになります。
そうなると、ブラックリストに登録されてしまい、新たなクレジットカードを作れなくなってしまいます。
また、債務が完済しきれないという場合、キャッシング枠だけでなくショッピング枠も含めて計算をするので、注意が必要です。

一度でも過払い金請求をした業者からはクレジットカードは作れない

一度過払い金請求をしてしまうと、その業者のクレジットカードは使えなくなってしまいます。
業者からすると、過払い金請求は決して嬉しいものでないです。
そのため完済している場合でも、業者独自のブラックリストに登録されてしまうことがあり、基本的には請求先に業者からは借入やクレジットカードの作成・使用ができなくなります。

ですので、普段使用しているクレジットカードの過払い金請求を考えている方は、十分に検討してから行うようにしてください。

弁護士が教える過払い金請求